大学生研究フォーラム2010

京都大学で開催された「大学生研究フォーラム2010」に参加しました。
雑然としたメモですが、一応、記録として。


【講演】中原 淳(東京大学大学総合教育研究センター准教授)
「企業における人材育成のフロンティア―敢えて「企業人材育成」から大学教育を考える―」

  • 企業が直面している人材育成に関する3つの課題。1.新人の組織適応(組織社会化)、2.リーダーの育成、3.イノベーション人材の創出
  • 従来はOJT=「なぜか人が育つ」伝家の宝刀。しかし、それは意図せざる偶然の産物。
  • バブル崩壊後、職場の「変化」(労働政策研究・研修機構、2006年調査)。できる人に仕事が集中。できるかもしれないし、できないかもしれない人に仕事をふらなくなる。
  • 組織社会化:予期的社会化→訓練・研修→社会化エージェント
  • 従来の導管モデル・学習転移モデルからの脱却。(例)東京電力のワークプレースラーニング
  • 研修と職場の断絶(「仕事は仕事、研修は研修」)→つなげる努力が必要
  • 「No more deliver and pray」=研修をやりっぱなしで後は教育効果が出ることを祈るだけをやめる
  • 組織社会化の要因:学習を促す「他者」の役割に着目
  • 他者からの支援:(1)業務支援、(2)内省支援、(3)精神的支援→様々な他者(上司、上位者、同僚)から異なる支援を受けながら成長していく
  • 経験学習:各プロセスと能力向上の実感には相関がある
  • タフな経験(McCall)を意図的に付与することでリーダーを育成する。(例)HOYAの経営幹部養成
  • イノベーション:従来は現場リーダーが「組織内」で引き起こすことが前提
  • 「越境し始める個人」:職場に立ち位置を持ちながら、外に出ていく人の増加
  • 「“が”の応酬を超えて」:「企業“が”悪い」「大学“が”悪い」→今はそんな場合ではない
  • 高等教育と組織学習研究のギャップ


(この後に、「キャリアを切り開く能力とキャリア観」をテーマとした、慶應義塾大学
高橋俊介先生の基調講演も聞いたのですが、メモを起こす気力が…。ごめんなさい。)


中原先生も高橋先生も、著書は読んでいたのですが、講演は初めて。
おふたりとも話が上手で、とても楽しく拝聴しました。


「越境し始める個人」というキーワードなど、講演を通してさまざまな気付きが
あったので、また、これをきっかけに、いろいろと勉強してみたいと思います。